一般
背景
大学等の研究機関では、実験時に多数の化学薬品を使用し、その薬品に起因する事故が多発している。 化学薬品には人体有害性や爆発性など、多くのリスクが内在しているが、使用者にとっては、そのような危険性を知らない、知る機会がない、などの問題がある。また、多くの化学薬品は毒物および劇物取締法や消防法、 労働安全衛生法等の法律によって適切な処置や取り扱い手順が規定されているが、これらも同様に熟知されておらず、また、知ってはいるが面倒なので手順を守らない、などの問題もある。 化学物質を多量に扱う化学系の研究室のみでなく、バイオサイエンスなどの生物系や機械工学・電気工学等の物理系分野でも化学物質に起因する事故が多発している傾向があり、広範囲かつ効果的な環境安全教育が求められている。これまでの研究活動
化学物質を用いた実験における種々の事故についての情報収集と原因分析を行い、それらを防止するための安全教育コンテンツに必要な情報提示のためのリソースを構築し、適正な安全教育の手法について検討考察を行った[1][2]。また、Moodleの用語集データとして記録されている化学物質の危険有害性を、音声UI経由で確認できる手段として、Googleのスマートスピーカーやスマートフォン上で利用可能なGoogleアシスタント用の音声アプリを開発した[3]。ユーザは、手がふさがった状態でも、化学物質の名前を発することで、その人体有害性、物理的危険性、および刺激性の情報(GHSの管理区分のうち関係する情報がピックアップされる)を音声で確認でき、画面付きスマートスピーカーでは視覚的にも確認できる。
[1] Kengo Tomita, Rumiko Hayashi, Tadashi Nishikimi, Taiji Mishina, Hideki Momose andHitoshi Yamamoto, "Utilization of Video Materials inSafety Education", In Proceedings of 6th Asia Conference on Safety and Educationin Laboratory, Bali, Indonesia, 2019[2] Takaaki Harada, Fumikazu Moriyama, Toshinori Tanaka, Taiji Mishina, Rumiko Hayashi and Kengo Tomita, "Improving laboratorysafety toward internationalization of universities in Japan.", In Proceedings of 7th Asia Conference on Safety andEducation in Laboratory, 2020[3] 富田賢吾, 原田敬章, 林瑠美子,山口佳宏, 喜多敏博, 化学物質の危険有害性に関するボイスアシスタントシステムの開発, 第39回大学等環境安全協議会総会・研修発表会, 2021