一般
背景
子どもの事故は、我が国だけでなく、世界中で死亡原因の第一であり、子どもにとって大きな健康問題である。また、その経済的な損失も大きく、国力維持や発展の観点でも大きな問題である。
しかしながら、特に我が国では、子どもの事故が発生すると「見守っていなかった保護者が悪い」の一言で済まされてしまうことが多い。その見守るべきとされる保護者も、子どもの事故の実情や科学的知見に基づく予防策について教育を受ける機会はほとんどない状態でありながら、失敗すれば責められる、という過酷な状況である。これまでの研究活動
LINEトーク上で子どもの安全に関する確かな情報を手軽に得るためのLINEボットを開発した。過去の事故事例をカード形式(カルーセル)で提示しその予防法等を外部サイトへのリンクで誘導して示すことができる(下図)ほか、クイズ形式でユーザがボットとインタラクティブにやり取りすることにより事故防止の的確な知識を得ることができる。頻発事故などの最新情報をプッシュ形式で受け取ることも可能とした。ユーザが書いたメッセージは記録されるため、分析をおこなうことで各ユーザの属性(どれくらい積極的か、子どもの年齢、日々の生活でよく遭遇する場面、など)を推定することも可能である。開発したプロトタイプを保育士、保健師、看護師、小児科医に試用してもらったことで、システムの提示情報の種類についての改善提案が得られた[1]。
[1] 喜多敏博, 北村光司, 子ども安全に関する情報のLINEボットによる提供・収集・分析, 日本教育工学会2021年春季全国大会論文誌, 2021